2018-09-15
日本人は無宗教?
自分が無宗教であると考える日本人は少なくありません。「バカの壁」という著書で知られる養老孟司さんは、「心の時代」という番組の中で、無宗教の無は、「仏教の説く無」だと述べています。
「仏教の説く無」とは何でしょう。この場合の無は、何も無いということではありません。般若心経には無という文字が二十一回も使われています。このお経は空という教えを説いていますが、「仏教の説く無」とは空のことです。空は「とらわれない心、こだわらない心」のことだと故薬師寺管主の高田好胤さんは説きます。
自分が無宗教だと思っている人に考えてほしいことがあります。なぜお墓参りやお宮参りをするのですか。なぜ神仏に手を合わせたり、拝んだりするのですかか。そういうことを一切しないのであれば、あなたは無宗教といえるでしょう。そうでないならあなたは無宗教ではありません。
こう考えてはどうでしょう。私の心は「仏教の説く無」に支えられている。つまり良いものを良いとし、悪いものは悪いととらえる調和のとれた感性に裏づけられていると。
ご先祖が育んできた心、すなわち神仏を尊び、おかげに感謝する心をあなたが大切にしており、お寺や神社、また、お墓やお仏壇にお参りするのであれば、それこそがあなたの宗教であり、それは他のどんな宗教にも劣らず洗練されていると自信を持つべきです。