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2022-11-03

功徳を積む生き方(3)

JAFによると今年の福井県の「歩行者がいる信号機のない横断歩道での一時停止率」は31.7%で、令和元年の10.4%に比べるとずいぶん改善されています。しかし全国平均の39.8%に及ばす、長野県の82.9%には足下にもおよびません。
 私も横断する人がいる場合、一時停止を心がけています。下校途中の小学生、シルバーカーを押す高齢者、幼児の手を引くお母さん、小脇に書類バックを抱えたビジネスマンなど、さまざまな人が道路を横断しようと立ち止まっています。
 そのような人のために車を止めることは仏教の説く布施行になります。「無財の七施」というのがあります。「眼施」、「言辞施」、「和顔施」などがあります。やさしい眼差しや、言葉使い、笑顔で人と接することです。横断歩道での一時停止は、人のことをおもいやること、また、それにそくした行いで「心施」になります。
 罰則があるからと言うのは、それはそれで法を守ることで良いことですが、布施としてすれば「神仏からよい報いをさずかる善行」、つまり、功徳を積むことになります。
 軽く会釈をして横断歩道を渡って行く人を見ると、ほんのつかの間ですが、何とも言えない幸せな気分になります。きっと、功徳を積んだことの証でしょう。
 「随喜」とは、他者の善行を見て、心に喜びが生ずることです。歩行者のために他の車が一時停止するのを見ると、少しだけ嬉しくなります。功徳を積んだり、随喜することが増えていけば、その分、世の中も住みやすくなるのではないでしょうか。
                             合掌
以上

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