2023-03-05
平等施一切
日常勤行の中で念仏一会のあと総回向偈を称えます。
願以此功徳 平等施一切
同発菩提心 往生安楽国
(お念仏の)功徳を、等しく一切の衆生に施し、共に悟りの境地を目指し、極楽に往生いたしましょう。
「等しく・・・施す」というと、どこか偉そうですが、「独り占めにせず、分かち合う」ということでしょう。
「衆生」は「有情」ということもあります。有情とは感情など心の働きを持つ存在です。植物や微生物は該当しませんが、人間だけでなく鳥や獣などの多くの生き物を含みます。さらに、現世だけでなく前世、来世の存在も広い意味では衆生です。
この世だけでなく、すべての心を持つ存在が、安らぎの浄土に生まれ、悟りの境地に到ることを願う、というのが大乗仏教の理念です。
あまりにも壮大にして、かつ高邁であるといえばその通りですが、縁起の法によれば、すべてのことは関わり合って存在しているのですから、自分、あるいは特定の集団だけが幸せになるということはありえないことです。
もうすぐ春のお彼岸です。自分の縁者だけでなく、広く生きとし生けるものを供養しましょう。金だけ、今だけ、自分だけという世知辛い風潮の今だからこそ大切なことなのではないでしょうか。
合掌