2024-11-01
人工知能と幸福
十月三日付けの朝日新聞の囲み記事のなかでソフトバンクの孫正義氏は「人工知能の進化は 『考える』 段階に入った。人工知能は恐ろしい武器になるのではなく、思いやりや慈しみを持ち人間を幸せにする」との意見を披瀝しました。
そこで、現在注目されている人工知能のひとつであるChatGPTに「人工知能は心を持ちますか」と尋ねてみました。以下はその答えを要約したものです。
「現代の人工知能の技術はすべてをデジタル処理、つまり情報を0と1の二進数で表して処理しています。一方、人間の心の働きはアナログです。したがって人工知能が意識や感情、感覚を持つとするには無理があります。仮に人工知能がそれができるようになるとしても、現在の技術の延長上にはなく、遠い将来であろうというのが、大方の専門家の見方です。」
これは主にネット上にある人工知能に関するさまざまな意見をChatGTPが、整理して要約したものにに過ぎないのですが、あたかもChatGTP自身が考えて出した回答のように見えます。いずれにしても素人の私など、どこをどうひねってもこれほど的確な答えをだすことは不可能で、ChatGPTの性能に改めて感心します。
さて、ChatGTPの出した答えを受け入れるのであれば、孫氏の意見は大方の専門家の意見とは異なっているということになります。
また、孫氏によると人工知能が「思いやりや慈しみの心」を持つとしますが、これらは主観的な心の働きです。
仮に人工知能が主観的な心の働きを持つとなると、貪りや怒り、妬みなど仏教が戒める煩悩を持つことはないのかという疑問がわきます。
孫氏が人工知能に関連する分野に積極的に投資をしていることを考えれば、孫氏の意見は宣伝文句のようにも聞こえます。
いずれにせよ、「人間を幸せにする」というのであれば、いつ確立されるか分からない人工知能に頼るよりは先人の知恵が凝縮された仏教の知恵、わけても念仏の教えを学び、実践するほうが、遥かに現実的で効果的ではないでしょうか。